時間管理術「ポモドーロ・テクニック」

仕事や勉強ができる人とできない人の大きな違いの一つに「集中力」が挙げられます。
勉強しないといけないのはわかっているのに、なかなか勉強できない。
自分の集中力の限界に悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そんな方に今回お話するのは「ポモドーロ・テクニック」という時間管理術です。
短時間の作業と休憩を繰り返すというシンプルな方法ながら、きちんと実行すれば驚くほど生産性を上げることが可能です。
今回も少しでも「自分に合いそうだな」と思えましたら実行してみてください。

時間管理術「ポモドーロ・テクニック」とは
ポモドーロ・テクニックは、エンジニアやデザイナーなどクリエイティブで高い集中力が必要な人を中心に取り入れられています。
発案されたのは1990年代初め、発案者はイタリアの起業家で作家のフランチェスコ・シリロです。「ポモドーロ」とはイタリア語で「トマト」のことで、これはシリロが学生時代に愛用していたトマト型のキッチンタイマーから来ています。
ポモドーロ・テクニックの方法とは、短めの作業と短い休憩を繰り返すことです。具体的には「25分の作業+5分の休憩」を1ポモドーロとし、4ポモドーロ(2時間)ごとに30分間の休憩を取ります。これを繰り返します。
作業時間を短く区切るだけでなく、1ポモドーロ内で決められたタスクを終わらせられるよう努力することが大切です。
それが集中力に結びつきます。
個々の作業時間は短いので、途中で集中力が途切れるという心配は少ないでしょう。集中すると疲れますが、こまめに休憩を取ることで回復しますので、集中力の高い状態が一日の中で断続的に増え、それが結果的に生産性の向上につながります。
ポモドーロに合わせてタスクも細かく区切ると、作業時間を見積もりやすくなります。
その結果、一日の業務量をポモドーロで把握することができ、作業のスケジュールが立てやすくなります。さらに、見積もりと実作業のズレも把握できるので、タスクの優先順位や目標を正確に設定できます。

効果を上げる4つのポイント
ポモドーロ・テクニックは簡単に実行できますが、効果を上げるためには、ポイントが4つあります。
1⃣時間管理を徹底する
作業時間はタイマーを見ながら正確に測りましょう。タイマーが鳴ったら、作業が途中でも必ず中断して休憩に入ることが大切です。これは集中力を維持し、作業時間や業務量を正確に見積もるためです。
ただし、集中力には個人差がありますので、作業時間の長さを変更することは可能です。
例えば、タスクの内容によっては25分でも長いことがあるかもしれませんし、50分は集中力が続くという人もいます。
一度決めた作業時間さえ正確に守れれば、1ポモドーロを絶対に「25分+5分」にしなければならないということはありません。
2⃣タスクをリスト化する
タスクはなるべく細かく分割してリスト化するのがコツです。
細かいタスクはいくつかまとめて1ポモドーロとし、複数のポモドーロにまたがるような大きなタスクは分割します。
タスクが大きすぎると集中力が低下するおそれがあるためです。
リスト化したタスクで消化できたものは休憩時間に入るときにチェックしていきましょう。
3⃣休憩時間のルールを決める
5分間の休憩にもルールがあります。休憩中は作業をせずに、頭の中を開放しましょう。
メールやRSSのチェック、電話の応対はできるだけ避けましょう。こうした作業を行うと、5分後に頭を切り替えて再び作業を始めたとき、集中力に影響することがあるからです。
おすすめの過ごし方は、深呼吸やストレッチをしたり、コーヒーなどを飲んでリラックスすることです。
4⃣「やらないこと」のリスト化
ポモドーロ・テクニックの効果をより高めるためには、作業中・休憩中を問わず、「やらないこと」を決めて、リスト化しておきましょう。
例えば、下記は避けるべき代表例です。
- テレビや動画の視聴
- ネットサーフィン
- TwitterやFacebookなどSNS閲覧
- 現在取り掛かっているのとは違う他の業務

ポモドーロ・テクニックのやり方
ポモドーロ・テクニックの実践に役立つツールやアプリケーションと、その活用法をご紹介します。
使用するツール
・タイマー
作業と休憩時間を正確に測る必要があるため、ポモドーロ・テクニックでは、タイマーの存在が重要な役割を持っています。キッチンタイマーでも大丈夫ですが、タイマーの音をほかの人に聞かれたくないという人もいるでしょう。そんな人は、光やバイブで知らせる無音タイマーを活用するのが良いでしょう。
・アクティビティー在庫シート(長期やることメモ)
現在抱えているタスクをすべて書き込んだ管理シートです。タスクごとに期限、優先度、見積もり時間(何ポモドーロ必要か)をメモしておきます。
・Todoシート(当日やることメモ)
その日に行うタスクのリストで、毎日作成します。始業前に、アクティビティー在庫シートからタスクを選択し、見積もり時間と一緒に優先順位をつけてリストアップします。
・レコーディングシート(日記)
一日が終了したら、レコーディングシートを作成します。タスクごとのポモドーロ数、総ポモドーロ数、見積もり時間と実際にかかった時間の差、電話などに割り込まれた回数などを記録します。
その上で、作業効率が向上しているか、タスクの区切り方や見積もり時間が適正かを見直します。

ポモドーロ・テクニックの基本的な流れ
ステップ1: Todoシートの優先順位の高いものからタスクを選び、25分のタイマーを設定します。
ステップ2:タイマーを25分に設定。
ステップ3:タイマーが鳴るまでタスクを行う。
ステップ4:タイマーが鳴ったら作業を終了し、Todoシート にチェックマークを付ける。
ステップ5:5分間の休憩を取る(勉強とはまったく関係のないことをして脳を休ませる)。
ステップ6:ポモドーロを4回した後に長い休憩(20〜30分)を取る(次のポモドーロで新しいタスクができるように完全に脳を休ませる)。

ポモドーロ・テクニック実践時の注意点
電話などの割り込みがあれば、タスクの実行を中断し、新たに1ポモドーロやり直しです。
そのため、至急の対応が必要な場合以外は後回しにし、相手に折り返しましょう。
集中力を保つためにマルチタスクは禁止です。他の作業のアイデアを思いついたら、メモを残しておきましょう。
マルチタスクが必要な人には、ポモドーロ・テクニックは向いているとは言えません。
定期的に休憩を挟むとはいえ、高い集中力を持って1ポモドーロに取り組むと、疲労感を覚えるものです。毎日続けるためには長時間労働を避け、「一日8~10ポモドーロこなしたら終了」など自分なりのルールを決めましょう。

ポモドーロ・テクニックはシンプル
ポモドーロ・テクニックはシンプルで実践しやすく、効果につながりやすいので、「これまでいろいろな時間管理術を試してみたけど、挫折した」という人にもおすすめです。
ただし、マルチタスクが禁止なので、集中している時間にメール処理を行うこともできません。
メールに対応する時間はあらかじめタスクとしてポモドーロの中に割り当てておきましょう。そうすることで、メールの処理も集中して効率良く行うことができます。
もし急ぎで返信する必要がある場合は、ポモドーロをいったん中断し、返信終了後、最初からやり直しましょう。